不動産売却で最も揉めやすい書類『付帯設備表』とは?

売却の基礎知識

家の売却が無事に決まり、いよいよ売買契約を結ぶ段階になると、誰もが「いくらで売れたか」や「契約書の難しい文章」ばかりに気を取られがちです。

しかし、不動産実務において、引き渡し後に一般の売主がトラブル(クレーム)になりやすい書類は別にあります。

それが、契約書の隅っこについている「付帯設備表」という1枚の書類です。

これを適当にチェックしていると、引き渡し後に「お風呂の追い焚きが使えない!」「エアコンが冷えない!」と買主から苦情が入り、何十万円もの修理代を支払う事態に陥ります。

今回は、付帯設備表の役割と、トラブルを防ぐためのポイントについて解説します。

 そもそも「付帯設備表」とは?(売主の義務)

付帯設備表とは、「エアコンや照明、給湯器など、お部屋の設備を『置いていくのか・持っていくのか』『それらは今、壊れていないか』」を、売主自身が自己申告して買主に渡す書類です。

ここで知っておくべきことが、契約不適合責任です。

契約不適合責任とは、引き渡した不動産が契約内容と異なる状態だった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。

話を戻します。

もしこの付帯設備表に「不具合なし」と書いたにもかかわらず、引き渡し後まもなく設備の故障が発覚した場合、契約内容や付帯設備表の記載内容によっては、売主が修理費用等を負担するケースがあります。

多くの売主が経験する「3つの罠」

現場では、良かれと思った親切心や、ちょっとした確認漏れで損をしてしまうする売主が多くいます。

ケース①:「一応動くけど調子が悪い」を「なし」にしてしまう

「エアコンの効きが悪いけど、一応風は出るから『不具合なし』でいいか」とスルーするケース。買主が入居後に「全然冷えない!」となれば、売主の責任で修理(または新品交換)を迫られます。

ケース②:「項目にない設備」の漏れ

不動産屋が持ってくるテンプレートは万能ではありません。キッチンのビルトインオーブンや天井埋込型の空気清浄機など、ニッチな設備が項目から漏れていることがあります。

項目にない設備に不具合があった場合、売主は事前に「壊れている」という証跡を残せないため、トラブルになった際に売主側が説明しにくくなります。

ケース③:「親切心で置いていく」エアコン

「まだ使えるから」と10年選手のエアコンを置いていってあげる売主が多いですが、これはリスクの塊です。入居直後に壊れれば、売主が15万〜20万円の新品交換費用として負担を求められるケースがあります

古い設備については、業者に撤去費用を支払ってあえて撤去して引き渡すという選択肢もあります。

よく揉める設備の例

給湯器

最もトラブルになりやすい設備の一つです。

給湯器は寿命が10〜15年程度とされており、内覧時にお湯が出ていても、引き渡し後にエラーが発生するケースがあります。交換費用も高額なため、買主から修理費用を求められると大きな負担になります。

エアコン

内覧時は数分しか動作確認されないことが多く、「風は出るが冷えない」「異音がする」といった不具合が引き渡し後に発覚し、それが真夏の場合だと生活に支障が出ます。

特に10年以上使用しているエアコンは注意が必要です。

浴室乾燥機

普段使用していない家庭も多く、故障に気付いていないケースがあります。

スイッチは入るものの温風が出ない、乾燥機能が動作しないといったトラブルは珍しくありません。

追い焚き機能

シャワー中心の生活をしていると、追い焚き機能の不具合に気付かないことがあります。

「自動湯張りができない」「途中で停止する」といった故障は意外と多く、買主から指摘されやすいポイントです。

IH・ガスコンロ

右側だけ火が付かない、グリルが動作しないなど、一部機能のみ故障しているケースがあります。

普段使わない機能ほど見落としやすいため注意しましょう。

付帯設備表で損をしないためには

引き渡し後のクレームや想定外の出費を抑えるためには、以下のような方法があります。

手段1:少しでも怪しいものはすべて「不具合あり」とする

異音がする、年数が経っているなら、迷わず「不具合あり(経年劣化あり)」と書類に明記して売りに出します。

事前に書いておけば、買主は「それを承知の上でこの価格で買った」ことになるため、引き渡し後の修理クレームを防ぐことできます。また、「だからこの売り出し価格なんです」と、指値を突っぱねる大義名分にもなります。

手段2:テンプレートの漏れを想定する

項目漏れやリノベ物件の見えない未改修部分を突かれないために、付帯設備表の備考欄や売買契約書の特約に、以下の1行を追記する方が安全です。

「本付帯設備表に記載のない設備、および各種リモコン等の消耗品類については、すべて性能を保証しない現状渡し(契約不適合責任の免除)とする」

このような特約を検討しつつ、契約内容については仲介会社や司法書士等と相談しながら決める必要があります。

まとめ:付帯設備表は早めに用意する

個人が不動産を売却する上で、恐ろしいのは「引き渡し後の想定外の出費」です。

設備表がないまま内覧を行うことは珍しいことではありません。しかし、早めに作成することで買主も内覧時に設備を見て、状態の把握をすることができます。

引き渡し後のトラブルを防ぐためにも、付帯設備表はできるだけ早い段階で準備しておくことをおすすめします。

タイトルとURLをコピーしました